今回は読書感想文が苦手、というよりも読書自体が苦手という方にお勧めできそうな
太宰治の貨幣について感想文を書こうと思います。
この話を読書感想文が苦手な人におススメする理由はたった一つ。
このお話9Pしかないからです。
というわけでこれがのっている短編集を探してみてください。
短編、それも9Pですから読むぞ!という心理的難易度はかなり低いかと思います。
あらすじ
貨幣として人生(幣生?)を全うしている女性のお話です。
生まれてすぐはとても楽しく過ごすことが出来たのに
そこから徐々に転落していく…と本人(本貨幣?)は思っているようです。
でも、そんな人生でも、貨幣として誇らしくあれた瞬間があります。
それはね…
という感じです。
感想
このお話ですが太宰治が貨幣を擬人化して書いた小説です。
私たち日本人にはあまりなじみのないことですが、
外国語の中には名詞に男性名詞、女性名詞という区分があるらしいのです。
ぱっと調べたところ、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語あたりが該当するのだとか。
別に男性の持ち物だから男性名詞、というわけではないらしいのですが
…うーん、難しい。
とりあえず太宰はそういった話から貨幣=女性名詞
では女性の貨幣の話を書いてみるか、みたいなとこから始まったようです。
貨幣の一人称で綴られるこのお話は、この貨幣の愚痴と、それから誇らしかった話で彩られます。
この貨幣は語り口調から私は40少し手前の女性を想像しました。
昔は美人だったけれど、色んな苦労を重ねてきて周りよりすこし早く老けてしまったような、そんな感じ。
読んでいるうちに太宰が作者であることをちょっと忘れてしまうくらい、綺麗な女言葉で綴られています。
ただ、気取った感じもする貨幣なので、その辺が太宰と言えば太宰かな、と。
太宰が女性口調で書く話と言えば他にも女生徒というお話もありますので、
もし興味があればそちらも是非読んでもらいたいですね。こっちもそこそこあまり長くない短編だったように記憶しています。
さて、貨幣の擬人化ということですが、昨今はいろんなモノが擬人化してはお話やゲームになってますよね。刀とかお城とか戦ってますよね。
今は珍しくなくても、この時代では珍しかったんじゃないでしょうか?
お話は貨幣の人生(幣生?)として誇らしかった瞬間を最後の方に話してくれて、ユニークに描きながらも「あーなるほど」と思わせられる部分がたくさんありました。
正直最初は貨幣の愚痴から始まったので、なんで小説でも愚痴聞きしなきゃなのさ!と思わなくもありませんでしたが。
ただ、愚痴でもくどく感じなかった、という点がこの貨幣の気取ってる部分というかプライドを感じる部分でもありました。
とまぁ9Pの小説でも色々感じる部分は多かったです。
もっとこのシーンのこれに共感した、あるいは理解できなかった、なんていう具体的エピソードを挙げて書けば400文字の原稿用紙二枚くらいはいけるんじゃないでしょうか?
最近の読書感想文がどのくらいの長さになるのかわからないのでなんとも言えませんけれども。
ではでは